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お大師様のことば お大師様のことば

お大師様のことば(三十五)

大正大学名誉教授
文学博士・東京成就院長老
福田 亮成



 この文の意味は、もしも阿字の世界入らば、ということを前提として、一切の相を離れるものとし、一転して、離相の相という立場からは、すべての相を具えていないことは全く無い、ということでありましょう。

 まず“一切の相”とは、一切世間の縁起の存在は、種々の色、種々の形、種々の相を具えているものであるとし、“離相の相”として、そこに現出しているものは、法身の普現色身であり、そのおのおのに四種曼荼羅を具えている、というのであります。

 もう一度述べてみましょう。私を含めた全ての存在は、因と縁との仮なる関係性による色・形・相として存在しております。それを“離相の相”という立場から凝視したとき、私を含めた全ての存在の色・形・相は、一転して遍くゆきわたっている法身如来の具体身そのものであるというのであります。

 たとえば、『般若心経』の有名な“色即是空、空即是色”という句におきまして、色としての全ての存在は、仮なる存在であることによって空というよりなく、空という立場から、その仮なる存在自体に空という真実なる世界が具現しているということであります。色から空に至るものと、空より色に至るものとの視点の百八十度の展開ということでありましょう。

 仏とは煩悩熾盛の凡夫にこそ宿るものでありますし、それを離れて仏の存在しうる理由もないことでありましょう。

 世間・出世間という言葉がありますが、世間を離れて出世間があるわけではなく、同じ世間にたつ立脚点の相違にすぎません。お大師さまがいわれる“離相の相”を深く考えてみるべきでありましょう。

 

六大新報 第四二六七号 掲載



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