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お大師様のことば お大師様のことば

お大師様のことば(十一)

大正大学名誉教授
文学博士・東京成就院住職
福田 亮成

  このことばは、お大師様が入唐された大きな目的を端的にのべたものであります。「大方」とは中国のこと、「東垂」とは東のはし、日本のことであります。「决(さく)る」とは掘ること。「潅(そそ)ぐ」とは、その掘った溝に教海(仏法)の水を流し、そして「亢旱(日照り)」の日本にそそぐということでありましょう。そもそも日本から中国への遣唐使の派遣は、中国の高い文化を日本にもたらし、それを充分に吸収することでありました。実際朝廷の官僚による行政組織は、中国のそれをそのままに移したものでありました。お大師様のそれは、「大方の教海」、即ち中国仏教、それもとりわけ密教であったわけであります。日本人でありながら高度な中国文化を自己のものとし、その中に起立しているお大師様は、中国文化や、中国仏教のエッセンスを主体的にセレクトされました。その見識に瞠目せざるをえません。

 有名な「綜藝種智院の式」に開陳されておられます綜藝種智院開設の趣旨に、「大唐の城には、坊坊に閭塾(りょじゅく)(学校)を置いて、普ねく童柑(童子)を教え、県県に郷学(地方の学校)を開いて青衿(せいきん)(学気)を導く。この故に才子城に満ち、芸土国に盈(み)てり。今この華城(平安京)にはただ一の大学のみあって閭塾(りょじゅく)あることなし。この故に貧賤の子弟、津を問うにところなく、遠方の好来、往還するに疲れ多し。今、この一院を建てて、普ねく瞳朦(どうもう)(学童)を済わん。また善からざらんやと」。即ち、一般庶民に解放されるべき大学の必要性を強く宣言されました。私は、ここに“决(さく)って潅(そそ)がん”とされましたお大師様の精神を見るものであります。何とすばらしいことではないでしょうか。

六大新報 第四二〇五号 掲載



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