Samayaでは賛助会員を募集してい
ます。入会申込書をダウンロードし、
印刷して必要事項をご記入の上、
郵送、もしくは、FAXしてください。

入会規約はこちら (PDF: 87KB)

【PDF: 94KB】

お大師様のことば お大師様のことば

お大師様のことば(十二)

大正大学名誉教授
文学博士・東京成就院住職
福田 亮成

 付法の恵果阿闍梨が永貞元年(八〇五)十二月十五日に「毘盧遮那(びるしゃな)の法印(ほういん)を結んで、右脇にして終ぬ」とあり、その夜のこと「この夜道場において持念するに、和尚宛然として前に立ちて告げていわく」として、お大師さまに向ってはなたれたお言葉であります。そして、その言葉につづいて「我れ東国に生れて必ず弟子とならん」と述べられたのであります。

 このことで、お大師さまの帰国の決心はほぼ確定したのにちがいありません。

 さらに、お大師さまに与えられたご遺誨(ゆいかい)にも、「早く郷国に帰ってもって国家に奉り、天下に流布して蒼生(そうせい)(人びと)の福を増せ。しかればすなわち四海泰(やす)く、万人楽しまん。これすなわち仏恩(ぶつおん)を報じ、師恩を報ず。国のためには忠なり。家においては孝なり。……汝はそれ行きてこれを東国に伝えよ。努力(つとめよ)や努力(つとめよ)や」と。師である恵果阿闍梨より、こんなに熱い期待と、そして信頼とをいただいた弟子空海は、大きな感動と共にあらためて師の恩を強く受け取ったにちがいありません。

 密教では三宝の外に師宝を加えて四宝とするゆえんがここによく具現されていると思います。

 お大師さまは、師恵果阿闍梨の遷化の直後より、帰国の意思をかためたようです。有名な「空海、闕期(けつご)の罪(二十年留学を命ぜられていたのに二ケ年に帰国してしまった罪)死して余りありといえども竊(ひそか)に喜ぶ。得難きの法を生きて請来せることを」との言葉は、お大師さまの自信というように解するよりは、師恵果阿闍梨からの熱い期待と信頼とにこたえることができた感謝と感激のそれであったのでありましょう。誠にありがたいことであります。

六大新報 第四二〇七号 掲載



≪ 一覧へ戻る

HOME | お知らせ | 活動内容 | 法人概要 | お問い合せ | お大師様のことば | 水面の月 | 祈りの風景 | イベント情報 | ブログ「SHOJIN」 | 入会申込書(PDF)