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お大師様のことば お大師様のことば

お大師様のことば(三十三)

大正大学名誉教授
文学博士・東京成就院長老
福田 亮成



 時に、弘仁十二年(八二一)九月七日、お大師さま四十八歳の時に、その年の四月三日より八月末日にわたる約五ヶ月をかけて、両部曼荼羅、九大虚空蔵等の二十六鋪の図絵を完成され、天皇を始めとする后妃、皇太子、左右大臣、太政大臣等の列席の法要の場に立っておられる。直接に請来された曼荼羅等が“年三六を過ぎて絹破れ、彩落ちて尊容化しなんと欲す”として発願されたものでありました。文中に“年三六を過ぎて”とありますのは、延暦二十三年(八〇四)から弘仁十二年(八二一)の十八年のことで、実に延暦二十三年とはお大師さまが入唐し、恵果阿闍梨より曼荼羅を受取られました年のことですし、それから十八年が経過したことになるわけであります。さらに“この功業こうぎょうを廻して仏恩を報い奉り、国家を擁護ようごし、悉地(さとり)を剋証こくしょうせん”と、この法要の目的を宣言なさり、その後にこの文があります。“妙楽の刹”とは、佛の国のことでありましょう。“不変の人”とは、天皇なのかもしれませんが、いや私達人間であるもののすべて、と受け取りたいとも思いますが、まず、ここに“不変の人”とは、大日如来と解することにしたいと思います。

 『金剛頂経』では、大日如来を五智の法身如来といたします。五智とは、前五識・六・七・八・第九識によって転識得智てんじきとくちされたものにほかなりません。そういたしますと、法身大日如来とは私達人間の理想的な当体ということになります。

 私は考えます。不変の人の対極に、一方には法身大日如来を、もう一方には私達を配してみます。大日如来が不変の人に、私達も不変の人に、その両方が一枚になる。即ち、互いに照らし合っている世界を思います。お大師さまのなかなかに妙味のあるお言葉ではないでしょうか。

 

六大新報 第四二六二号 掲載



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