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お大師様のことば お大師様のことば

お大師様のことば(三十七)

大正大学名誉教授
文学博士・東京成就院長老
福田 亮成



 お大師さまは、註釈書を書かなかった方であります。諸開題がありますが、あれは註釈書ではありません。

 この文の前に“菩薩、論を造ること、経にしたがって義をべてあえて違越いおつせず”とあり、さらには“宗にしたがって談を成ず”と述べておりますように顕教の教えは、経の文の解釈や、宗という立場の中での理解に終始している、ということの批判であって、お大師様のよってたつ密教という立場を鮮明に表現しているということができましょう。

 仏の説法は、病に応じて薬を調合するようなもので、その病が多種多様であれば、その処方の仕方も多種多様となり、それは究極的な教えになりえないということであります。

 学者が論を造ることの実際は、経典の文言の示す範囲内でその意味を述べて、あえて逸脱しないようにしているのであって、深いさとりの世界は言語をもって説く事ができないというのであります。

 このような当時の仏教界を批判して“我をやくするのほこあらそつのって、未だおのれそんするの劒をとぶらうにいとまあらず”と云っているごときであります。

 このことは、入唐以前のお大師さまが、仏教の全般について学んだ当時の仏教界の現状だったのではないでしょうか。もう一つお大師さまは仏教を求めるに、源還げんげんというテーマをかざしておられましたが、その一貫した姿勢がもたらしたものに違いありません。そのことは『般若心経』を、大般若菩薩の大心真言三摩地法門なりと喝破されたものと通底するものでありましょう。お大師様の思想が、三摩地という禅定の奥深くから滲み出ている、と感じられますのは、まさしくそれでしょう。



六大新報 第四二七二号 掲載



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