諸の弟子らに語(つ)ぐ。
およそ出家修道はもと仏果を期す。
あにいわんや人間(じんかん)少々の果をや。

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お大師様のことば お大師様のことば

お大師様のことば(八十五)

大正大学名誉教授・種智院大学客員教授
東京成就院長老


福田 亮成



 警察庁の発表によりますと、一月十八日現在、東日本大震災によって亡くなられた方は、一万五八九四人、行方不明者は二五六三人に上るといっております。さらに、岩手・宮城・福島三県で、プレハブ仮設住宅での「孤独死」は、ここ五年で一九〇人を数えるまでに増加し、さらに増えていく状態にあるといわれております。因みに、阪神・淡路大震災(一九九五年)では、プレハブ仮設が使われた五年間に「孤独死」した人は、二三三人に上るものであったということです。実に、東日本大震災についての新たな事態が展開してきた深刻な問題であるということができましょう。
 このような多くの不慮の死を、私達は、あるいは社会はどのように受け容れてゆけばよいのでしょうか。
 かかげました言葉は、「重重帝網じゅうじゅうたいもうなるを即身そくしんと名づく」という『即身成佛義』の"即身"ということの説明であります。此の身も、彼の身も、そして佛身も、衆生の身も、「縦横重重じゅうおうじゅうじゅうにして鏡中きょうちゅう影像えいぞう燈光とうこうとの渉入しょうにゅうするがごとし」というのであります。帝網たいもうとは、帝釈天の住む城の上にかかっている網のことであります。網とは無限な結び目によって成りたっております、一つの結び目は、その他の全ての結び目によって保持されているというのであります。よって、私一人の存在は、数えることのできないぐらいの他の人との相関関係にあるわけです。別な言葉でいってみますと、「我と佛と及び一切衆生と無二無別なり」ということです。お大師さまの教えの中で、大変に重要な考え方です。私達も、そして社会も、もっと絆を強固にし、連帯を深めていかなければなりません。その為にお大師さまのことばから多くの事を学ばねばなりません。



六大新報 第四三九六号 掲載



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